オロドウ日記

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北海道拓殖銀行はなぜ北洋銀行に営業譲渡したのか?

番宣ですが、しくじり企業Lでサムスンモーターズをアップしました。YouTubeでトラフィックが大きいこの夏休み期間に、完全に個人的に面白かった企業を取り上げるというクレイジーさですよ・・・。是非見ていってください。


【ゆっくり解説】しくじり企業L 06話 ~サムスンモーターズ~

今回の拓銀補足のブログですが、コメントでちょくちょくリクエストがあった、営業譲渡の前後について書きたいと思います。

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拓銀と道銀の軋轢

97年になり急速に信用をなくした北海道拓殖銀行(拓銀)は春頃から北海道銀行(道銀)と合併の実現を目指しました。最初は一気に話しが進みます。しかし合併発表を行った後から、具体的な合併内容の詰めの段階で、銀行の形態(都市銀行or地方銀行)、不良債権の額について大きく揉めて破談となりました。当時の道銀は不良債権の厳格化により自己資本比率は国内基準の4%を下回る3%までにさがっていて決算承認銀行に指定されており、増資が必要な状態でした。当時の藤田頭取は単独に生き残れるよう、合理化を進めました。

それに対して、拓銀は自身の銀行に対して、強引な合理化を臨まずソフトランディングを望みます。これにより道銀側に不信感が生まれました。さらに互いの債権内容の開示したところ、拓銀に1兆円の不良債権があることがわかりました。道銀の藤田頭取は合理化で年間1千億円の利益を拠出できると見込んでいたが、1兆円を回収するのは見込めず「合併は難しい・・・」と合併に後ろ向きになりました。このときに拓銀側は、道銀が拓銀を救済する形で主導権を握る「藤田シナリオ」が狙いだと思い込むようになり、道銀に不信感を募らせました。これ以降拓銀が道銀に対してアレルギー体質を持つようになります。

なぜ北洋銀行に譲渡した?

合併が難しくなり財務体質の悪化や資金の先細りは明確だったため、拓銀は他の銀行や生命保険会社からの増資を打診をしますが、銀行や生保側の増資要件として、「道銀との合併」だったため、引き受けが難しくなっていました。

その後増資、合併ともに失敗した拓銀は一気に苦しくなり、11月14日に営業譲渡をせざるを得なくなりました。拓銀の河谷頭取は大蔵省の中井省審議官に営業継続を断念し破綻処理をすることを決断した旨を伝えました。大蔵省としては譲渡先の銀行は規模的にも道銀しかないと拓銀に伝えるも、拓銀側は一晩考えさせて欲しいと先延ばしにして、翌日の朝に道銀を拒否して、北洋銀行を希望しました。

このとき日銀側も大蔵省に電話をして、「北洋銀行を推す」と意見しました。北洋銀行の当時の頭取は元日銀の武井頭取です。これらを含めて日銀と大蔵省の縄張り争いでは?と言われることになります。

日銀は、北洋銀行の副頭取(元日銀)に「頭取に大蔵省に電話するように伝えて欲しい」と伝え、北洋銀行の武井頭取は大蔵省に電話をしました。そこで初めて大蔵省は武井頭取に拓銀の営業譲渡を受けて欲しい旨と当日の回答を迫りました。武井頭取はその場での回答を控えて、2名の副頭取と相談した後に、「日銀特融」、「預金保険機構から資金が出る」、「北洋銀行への営業譲渡は道内のみ」ということを確認した上で、営業譲渡を受ける方針を固めました。武井頭取は拓銀営業譲受の記者会見時に「拓銀の意見は聞くが、判断するのは私だ。これは合併ではない」と自身の立場を明確にしました。

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ちなみに武井頭取は元日銀考査局(市中銀行の経営状態を調べる部門)に17年在籍していた為、銀行の破綻理由などを詳しく知っており、リスクに非常に敏感でした。バブル期も土地投機には手を出さず、堅実に住宅ローンなどに力を入れ、バブル崩壊前に北洋銀行で保有していた株を手放したことにより評価損を出しませんでした。

北洋銀行は週明けの17日に正式に臨時取締役会を開き、北海道拓殖銀行業務の譲り受けの決議を取りました。武井頭取は「反対意見のある者は言って欲しい。それが議事録に記されていれば、株主代表訴訟があっても免責されるから」とした上で、一人一人の役員に意見を求めた。この譲り受けで北洋銀行に損失を被ったら、株主から訴訟されるリスクがあるからです。その上で役員全員は反対せずに北海道経済の為にやるしかないと、決意を固めて譲り受けの決議しました。

北洋銀行は札幌銀行と合併を行い札幌北洋ホールディングスを設立。リーマンショック時に大きな損失を出しましたが、比較的に堅実に営業を行っており、全国シェア5位、北海道でのシェアでは圧倒的で、第二地方銀行としての預金量は突出するシェアを誇っています。

金を運べ!

営業譲渡先がほぼ決まり、本格的な破綻に向けての対策を行います。週明けに拓銀破綻のニュースが出れば、取り付け騒ぎは起きるのは明確です。そのために、各支店に潤沢な現金をあらかじめ用意する必要があります。日本銀行はあらかじめ用意したマニュアルに沿って拓銀4兆円の資金量の内、2%の800億円を資金として算段して備える必要がありました。拓銀は360億円の現金を保有していたため、残りの現金は一晩でピストン輸送で対応して、各支店に行き届かせ、万全の体制にし、大きな混乱を発生させませんでした。(たくぎん抵当証券は置いといて)

本州支店は?

残りの本州の支店は中央信託銀行(現中央三井信託銀行)に吸収合併されました。当時の中央信託銀行は独立系で、銀行の後ろ盾がなく、ジリ貧の状態でした。そのため、拓銀の本州支店の営業譲渡は渡りに船でした。中央信託銀行は2000年に三井信託銀行と合併することになりました。

 

武井頭取のコメントを読みましたが、

本物の銀行マンだと思いました

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結果北海道では圧倒的なシェアを

誇ってても結果論だからな・・・

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          俺もこういう決断してみたい・・・

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提督の決断でもやっとけ

 

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