オロドウ日記

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残業代未払いの本質的な問題

以前記載しました、ヤマト運輸問題の続きです。

 

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 未払い残業代で利益半減

ヤマトホールディングスは4月18日、2017年3月期の営業利益が前期比で半減となる340億円程度に減少すると発表した。下方修正の主要因は「未認識」労働時間に対して該当社員に支払う一時金。

あくまで未認識という扱いのため、私たちは知らなかった!という体裁を保つためなのだろうか?

グループ正社員87000人に及ぶ調査を行い、未払い残業代の支給対象者は47000人にも及んだ。その他にも法定福利費を30億円積み増す必要があり、さらに不足する人手を外注せざるを得なくなり20億円と業績に大きなインパクトを残す結果となった。

 これら利益に対する反応か、株価も低調。4月20日には前日比一時4%安というあきらかに影響が出た。ただ、未払いの残業代の噂が出ていた時点で折り込んでいたのかと思っていたが株価に影響が出たのは少々驚きました。

しかしながら「2017年3月期に190億円減益インパクトを残した」という簡単な話しではないです。

ヤマトの本当の課題

一番の問題点はヤマトが標榜していた、顧客重視という戦略に疑問視される結果となった。

昨今のオリンピック需要、高齢化社会となりどこも人員不足が深刻化している。特に目立つのはIT関連、建設、そして物流。そして今回その物流が悲鳴を上げる結果となった。

Eコマースを中心に個人宅配の需要が急拡大し体制が追いつかない結果になった。それでもなんとか顧客のニーズに答えようと、無料再配達、時間指定配達など手厚いサービスを実施して、顧客満足度とシェアを上げていた。

ここで利益を安定して出し続けもてはやされていたのがヤマトです。しかしこの利益はごまかしであり、きちんと労働時間を計算すると大した利益を出していないという結果になりました。

この状況はどこぞの電機メーカーに似ていて、決算の数字をごまかし続けた結果、実は儲かっていなかったという事実を認識できず、現在存亡の危機に経っている。ヤマトは存亡の危機というほどではないですが、「労働の粉飾」のようなものを行った結果、実態把握ができずに経営戦略を揺るがす大きな問題に行き着いた。

粉飾などは問題の解決ではなく、先送りです。問題は雪だるま式に膨らんでいき、次第にその企業の存在そのものを揺るがしかねない大きなものとなる可能性もあります。

ヤマトの基本戦略をどうしていくかが一番の重要課題と言えると思います。

目の前の課題は・・・

戦略も必要なのが、今は目の前のことを片付ける必要がある

労働環境の改善

ヤマトのセールスドライバーは連日15時間働くような状態で昼休みも業務に追われるような状況です。サービス残業は常態化している。サービス残業というのは大手経営者は比較的に避けたがります。なぜなら長期残業や未払い残業をして責任を問われる立場だからです。問題は従業員に直接指示命令をする中間管理職だと思います。

いくら仕組みを作ったところで、サービス残業を行わなければいけない環境を作ればまた解決しません。

意識を替えるためにもトップダウンによる強い意思で改革を行わなければ再び同じようなことが起きます。

低単価・低賃金

先ほどの労働環境に関わるかもしれませんが、物流は低賃金とよく言われます。背景には供給過多の時代の影響で低賃金を強いられ、単価を上げるということがしにくい環境下に長くいたようです。その為単価交渉が難しく、賃金も他の職種と比べて拘束時間のわりに低賃金という事態になったようです。

この問題によりヤマトはAmazonなどの大手顧客に対して単価交渉、小口の顧客に対しても27年ぶりに単価を上げる決断を下しました。

そのうちに労働者の賃金にも反映されるかもしれません。

労働人口の減少

これは日本全体に関わることですが、労働人口が減ってきたことにより賃金をればすぐに働き手が見つかるという世の中ではありません。

今まで多くの会社は外国人労働者などを敬遠しておりましたが、飲食や物流などあまり働き口として人気がない業界では外国人労働者も選ばざるを得ない状況になってきました。

外国人労働者で問題点となるのは品質の確保と言葉の壁です。外国人労働者は今後もっと受け入れなければならないかもしれないので、外国人労働者でも品質と言葉の問題を解決できるノウハウを見つけた方が問題の近道になるかもしれません。

再配達問題

再配達問題はヤマトもそうですが、宅配事業全体の課題のようです。全体の2割、1日2万個程が再配達になっているようです。人的リソース、コスト、その他にもCO2などの環境にも影響があるのではというふうに言われている。

女性は宅急便がきても最初は居留守を使うというケースもあるようです。宅配を装った強盗事件などによってセキュリティ上仕方なくやっているようです。

「そんなことすんじゃねーよ」と思いましたが、実際に事件が起きた事を考えればわからなくもないです。

ヤマトはこの問題を解決するために宅配ロッカーの設置をしたり、その他の企業もコンビニ受取可能にするなど様々な動きを行っております。ヤマトは来年の2018年までに宅配ロッカーを2000以上設置する方針です。私の最寄駅の近くにも宅配ロッカーを見かけますが使われたところをみたことがないです。

使うにはクロネコメンバーズに登録して、「宅急便e-お知らせシリーズ」という2段階のステップを踏まなければなりませんが、この仕組が非常にわかりづらく、効果は限定的です。

政府も問題視しており宅配ロッカーに対して補助金を出して積極的に解決に動こうとしているが、どこまで浸透させるかが課題ですね。

もしサービス残業がなければ・・・

たらればの話しになりますが、サービス残業をせずに現状を把握できていれば、こんなにも後手後手にならなかったのかと思います。現場の逼迫している状況が分かればもっと早くから労働環境の改善を行っていたと思いますし、宅配ロッカーなどの投資も積極的に行っていたと思います。

「サービス残業は労働者、社員双方にとってプラスにならない」ということは浸透してほしいです。

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