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前半は吉本興業の会見について書きましたが、今回は会社全体の問題点について書きます。個人的な考察等も混じっておりますので注意してください。
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契約書なしと安いギャラについて
ここまで一般の人や弁護士などの識者を含めて、多くの問題点を指摘しているにも関わらず吉本興業は可能な限り契約書での契約をせずに口頭での契約にこだわり、ギャラの方針を変えることはしませんでした。これは大崎会長がインタビューで答えております。
大﨑:芸人、アーティスト、タレントとの契約は専属実演家契約。それを吉本の場合は口頭でやっている。民法上も、口頭で成立します。タレントが出版社から本を出す、映画に出るというときは、これは別途、吉本興業と出版社や映画会社が契約書を交わしています。
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売上高が500億あったと言われる大企業が契約書をまかないというのはかなり異例かと思います。契約書を通さずに口頭でも契約(諾成契約)は確かに成立します。しかし大企業では書面で取り交わしリスク管理するのが一般的、6000人のタレントと契約を口頭でしているというのは異常です。通常口頭での契約は料金がわかる状態だな、受け取った金額を明示していない吉本興業の場合は問題にならないのだろうか?特に吉本はギャラが非常に安いことでも有名です。
吉本興業は出だしの芸人が出演したときのギャラは数百円だと名言しており、1円でも払ってあげようという気持ちの金額とのことです。しかし、多くの所属タレントはもっとぼられているはずだと疑問を呈しているようです。
吉本とタレントなどの契約は専属実演契約となっているようで、他の事務所とは契約できない。そのためタレントは自分で仕事を取るか、吉本を通して仕事をもらうしか手はなく、吉本は圧倒的に有利な立場になっています。吉本には顧問弁護士などの法律に強い専門家もおり、立場はより有利となっております。不明確な価格設定で有利な立場での口頭契約は問題があると私は思いますし、弁護士も問題だと指摘しています。
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吉本では価格決定権タレントの出演価格については現場のマネージャーやチーフマネージャーが決定しているようですが、私はここについて問題があると思っており、マネージャーに対する評価方法によっては、自身の評価を上げる為に異常に安い価格でタレントを出演させている可能性もあります。
だったらもっとたくさんギャラをもらえばいいじゃないか、という話になるかもしれないが、その時の芸人の知名度なども考慮して、安いギャラでも番組の本数を増やしたほうがいいと判断したのかもしれない。
そこは、現場のマネージャーやチーフマネージャーの判断でやっています。彼らの判断が、一番正しいと思う。
闇営業と契約書
吉本ではこの格安のギャラ設定の前提にあるのはタレントの直接の営業(闇営業)を推奨してはいないが黙認しているようです。吉本の仕事だけでは食っていくことはできないのも承知しており、直営業前提なのだと思います。この直営業がある限り反社勢力との完全な決別は困難です。個人で完全な反社チェックは困難ですし、悪意をもって取引をする可能性があります。岡本社長はタレントに対してコンプライアンスに関する研修を増やすという対策を打ち出したが、研修回数を増やして反社との関係を完全に解消できるかは疑問が残ります。
大﨑会長はタレントとの契約は口頭での契約にこだわっており、契約書を取り交わすのを拒否している感があります。大﨑会長は家族主義を掲げており、家族だから紙の契約書はいらないと発言しております。家族主義と契約書は別問題なのでは?
吉本興業と大﨑会長
今回の件を含めて私は吉本興業のガバナンス全般が歪に感じました。まずは社内内部。吉本興業ホールディングスの代表権は会長の大﨑氏と社長の岡本氏です。ただ岡本氏は今年の4月から社長に就任したばかりです。会見では最初の説明を弁護士にさせたり、岡本社長は会見では不明瞭な受け答え、しきりに部下に意見を求めていたり、記者が「岡本社長にしかできないこととは?」と質問した際に「みんなに後で聞いておきます。」と発言するなど、とても大企業の代表権を持つ社長とは考えとは思いませんでした。
上記のインタビューなどは会長の大﨑氏が行うなっており、吉本興業は大﨑会長が顔であり、実質的な権限を持っているのは大﨑会長と考えられます。ダウンタウンの松本氏も「大﨑会長がやめるなら僕はやめる」や引退した島田紳助氏も文藝春秋のインタビューで
だから今吉本の大崎が辞めたら、松本も辞めるって言うけども、大崎辞めたら吉本も潰れるから辞めんでもなくなるで。真面目な話、大崎が辞めたらみんな辞めますわ。
と語っており、大物芸人の大﨑会長へのリスペクトと大﨑会長が権限があり、ワンマンな体制であることが窺えます。
bunshun.jp
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亮氏の「在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主やから大丈夫」も衝撃を受けました。多くの視聴者は言論統制をするつもりだったのかと思ったでしょう。吉本は2009年に上場廃止をしております。
「メディア関係者との資本関係強化により、目新しい仕掛けをスピーディに展開するため」、というのが非上場化の公式な目的ではあったが、上場を維持することによるコンプライアンス(法令順守)上のリスクもまた、意識していなかったはずはない。
toyokeizai.net
吉本の非上場化は透明性の拒否とテレビメディアとの蜜月の関係性を感じさせます。これは芸能プロダクション企業の殆どは非上場で以前は上場していたが、上場廃止にした企業もいくつもあります。吉本興業の財務状況は官報への掲載へ留まっている為、売上などは非公開となっております。
吉本興業の選択
恐らく今回の会見で吉本側はハラスメントや対応の不手際の責任をとって代表者が辞任して経営陣を刷新して世間の信用をゼロに戻すことも出来たはずです。しかし吉本はある程度世間やタレントの信用低下を見込んだ上で代表者を留任しました。またこれだけ世間の批判を受けながらも契約書のあり方について方針を変えると明言しませんでした。
恐らくはしたくてもできないのではないのかと思いました。吉本を牽引できる次のトップが決められない。契約の締結や価格の透明化は吉本のビジネスモデルの崩壊に繋がりかねないのではないでしょうか?
吉本はタレントは家族と謳っており、経営方針の変更を拒んでおります。家族主義的な方針もありだとは思いますがその規模と影響力を考えると経営の透明化、契約書の締結などは必要だと思います。吉本は変えるべきものと変えてはいけないものを履き違えた企業だと感じます。
社長と会長が留まる形だと
どうしても保身の為にしか思えないよな
じゃあ次は誰が社長をやるんだ?
藤原副社長か?
ダメだ笑ってはいけないシリーズになってしまう