前回のブログでもお伝えしましたが、「しくじり企業~北海道拓殖銀行~」をアップしました。今回は一話に収まった、というより収めたという感じですかね。色々とすっ飛ばして解説いたしました。ということで補足のブログを書きます。
【ゆっくり解説】しくじり企業 Chapter18 ~北海道拓殖銀行~
全ての始まりはトリオから?
今回は北海道拓殖銀行の人に注目したいと思います。動画ではあえて個人に触れることを極力抑えてます。ドラマ半沢直樹を見たらわかると思いますが、銀行という組織は他の組織と比べてかなり異質で人間関係も複雑ですが、北海道拓殖銀行も例外ではありませんでした。
最も有名なのが「SSKトリオ」です。21世紀ビジョンを策定した1990年ぐらいには役員や監査役は26名おり、その中でも中枢とみられていたのが、鈴木会長、佐藤副頭取、海道常務で、これらの頭文字からSSKトリオと呼ばれておりました。押しの強さと豪腕さの海道常務は鈴木会長や佐藤副頭取に引き上げられました。21世紀ビジョンの目玉(付け足した柱)であるインキュベーター戦略の要となる総合開発部の担当役員に抜擢されております。
崩壊したガバナンス
カブトデコムが絶好調な時にある役員が業績に疑問を投げかけたところ、海道常務は「現場のことをなにもわかってないのに、何を言うか」と一喝され、その場では誰も発言をしなくなったようです。さらにSSKトリオに反抗したから閑職に飛ばされたという噂も出るようになりました。
ここで「頭取は何処へ?」と疑問に思う人もいると思います。山内頭取は佐藤副頭取との頭取争いに勝利して、頭取の座につきますが、影が薄かったと言われております。SSKトリオがうまくいっていたので、大きな事も言えなかったようです。
これらからわかるように拓銀のガバナンスが崩壊しており、海道常務は暴走を始めます。
暴走の果てに
SSKトリオは会社のインキュベーター戦略の要とも言える総合開発部でカブトデコムを担当しておりました。カブトデコムは絶好調と海道常務は太鼓判を押し続けましたが、ある日海道常務が佐藤副頭取に「実は・・・」と医者が末期がんを宣告するようにカブトデコムが死に体であることを告げました。
拓銀は表沙汰にならないようにカブトデコムに融資を行い、延命させました。当然海道常務は常務を外され関連会社に異動となりました。当然SSKトリオそのものが崩壊し拓銀の内部は大きく変わりました。
拓銀はカブト支援の姿勢を見せましたが内部では「カブトは実質的に債務超過」「存続不可能」と末期的な状況であると認識はしておりましたが、対外的には支援を装っており、降りかかる被害を最小限に食い止めるという動きでした。
なぜすぐに倒産させなかった?
なぜ実質的に破綻をさせなかったというと、カブトデコムに対しての疑惑行為が明るみに出るのを恐れていた為です。例えば幽霊会社などに拓銀が株式取得資金を融資して、カブトの第三者割当増資の実態が明るみに出て、「仮想増資」、「迂回融資」の批判を浴びる可能性がありました。なので、カブトデコムをゆっくりと倒産させる必要がありました。
ではどのようにカブトデコムに融資したのか?直接融資するのは危険すぎます。ここで拓銀は休眠会社やペーパー会社などに拓銀OBの名前を据えたダミー会社を用意し、迂回融資を行います。そしてその資金で拓銀ノンバンクで融資した会社に資金を返します。
例:拓銀→ダミー会社→カブトグループ→拓銀系ノンバンク
これらのダミー会社は30社にも及んだそうです。これらの動きは大蔵省などは知らなかったのか、チェックはしてなかったのか?という疑問が出てくるかと思います。これらの動きは大蔵省や日銀は知っており、容認してたようです。というよりこれぐらいのことは当時どこの銀行もやっていたとも言われております。
金融系は調べれば調べるほど闇が深いですね・・・。
え、こんな無茶苦茶なこと大蔵省知ってたの?
大蔵省は銀行を潰さないと名言してたらしいからな、
容認していたのもわからなくないな
これだけ大きいとちょっと位の
粉飾決算だったら・・・
許されるわけねーだろ