オロドウ日記

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山一證券最後の社長 野澤正平が背負った罪

先日投稿してた山一證券の動画の補足です。何度か分けようと思いますが、今回は野澤社長や社員のその後について記載したいと思います。

 山一證券社長就任105日目の記者会見

動画でお話しておりますが、野澤社長は2600億円という巨額の簿外債務を就任時は知らず後日知ることになります。就任後わずか104日で、山一證券自主廃業の「社員は悪くありませんから!」と会見しました。

簿外債務が発覚したその次の営業日にはプロジェクトチームを発足させて事態の収拾に走りました。外資との提携、規模縮小や、会社更生法の適用、特融など様々な方向でなんとか会社を存続させる方向を考えました。しかしながら社長業務や危機対応の経験がない野澤社長にとって、この対応は明らかに自身の能力を超える挑戦だったと思います。銀行などからの経営者として有能かつ政府と太いパイプを持っている外部の人間が行うのが一番確実性があると思いました。

特融の経験やコンプライアンス違反の重さを認識できずに、外資との提携を後回しにした結果、全ての道が塞がれた形で自主廃業を選択せざるを得ない状況に追い込まれました。結果論ですが外資との提携をトップ自らスピード勝負で処理すれば違った結果になったのではないでしょうか?しかしながらいろいろな文献を漁れば野澤社長は持てる力の全てを出して対応したのはよくわかります。58歳の体にムチを打って、営業上がりで右も左もわからない社長業をこなそうとしてました。最後の会見の際もほとんど寝ていない状態で記者会見に臨んでいたそうです。

社員から愛された社長

山一證券のOBの間で野澤社長は信頼度は高く愛された社長とのことです。それは誠実さにあると思います。記者会見時に有名な言葉として

 みんな私ら(経営陣)が悪いんであって、社員は悪くありませんから!、どうか社員に応援をしてやってください。優秀な社員がたくさんいます、よろしくお願い申し上げます、私達が悪いんです。社員は悪くございません。

 社員にはどのように説明するのですか?という記者の質問に対しての返答でした。なぜこんな話しになったのかというと、取締役会にて「社員の再就職について協力して、社員を助けて欲しい」と野澤社長から発言した時に、執行役から公の場で言って欲しいと言った。その後の記者会見前の五月女会長から記者会見では「自分の言葉でいいんです、だけど社員の言葉は忘れないでください」とアドバイスをして記者会見が実施された結果です。その誠実で実直な人柄は多くの人が好感を持ちました。

雪印乳業の食中毒事件や牛肉偽装事件で社長は執拗なマスコミの質問に対して「寝てないんだよ」と逆ギレしたり、東芝の事件でも自分には責任はないような発言をしたりと大企業の雇われ社長には責任感がないようことが多いですが、野澤社長は自分たちが悪いとはっきりマスコミの前でいい切りました。

社員のその後の為に全てを捨てる覚悟

野澤社長の記者会見は只のお涙頂戴のものではありません。社員の生活を露頭に迷わさせないようにするため、粉飾決算事件で自身は刑事責任を問いかねられない状況でした。記者会見は金融恐慌、平成の大不況、バブル崩壊、失われた20年、などの様々な負の象徴として経済史に残り、今なお素材のような扱いであり様々な場面で見かけます。ここまで扱われるとは思ってなかったと思いますが、世間に後ろ指を刺されてでも社員を助けたかったとその覚悟を伺えます。

山一證券社員と社長のその後

社員の中には就職できずフリーター生活を行う社員もいるようですが、多くの社員はメリルリンチを中心とした競合の証券会社に就職できたと聞いております。この功績は野澤社長の部分も大きいと思います。

野澤社長自身は山一證券破産宣告後、支店長時代のつてで子会社の会長やIT系の大企業の顧問に就任後、センチュリー証券の社長にも就任し証券業界に戻りました。これは野澤社長の人柄と叩き上げの能力の評価が高いものです。

個人的には上司にした野澤社長は社長ですね!

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