今回は前回に引き続き、スマホ・ソーシャルゲーム系の会社の決算をピックアップ
Cygames(サイバーエージェント)
サイバーエージェントグループのCygames。グランブルーファンタジー、アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージに今年から配信されたシャドウバースと浮き沈みが激しく、一本でも大きなヒットを飛ばせばよいという業界において、定期的に大ヒットアプリを生み出し、業界でも屈指のゲーム業界に躍り出ている。
1,226億円前期比40.9%増、営業利益304億円前期比70.3%増と影が見えてきた業界をお構いなしに業績を伸ばした。また利益面ではサイバーエージェントグループのセグメントの中では今までの主要事業であった広告事業を抜き、トップに躍り出た。
この成長速度を目の当たりにしながら、当の本人たちは落ち着いており、営業利益は来期下げるとの見通しだ。これが売上減によるものか、広告宣伝費を見込んでの下げ方だったのかは不透明だ。AAAタイトルの為に求人もしているのに、今後はコンシューマーゲームにも挑戦する模様だ。
一つのヒット作が出ればいい業界で向上的にヒット作が生まれる環境を作り出している。その要因は技術もそうだがしっかりとした投資に加えてサイバーエージェントならではで広告宣伝が上手い印象だ。浮き沈みが激しい業界だけに無茶な投資はせず、既存の利益を上げるような経営にシフトしていくのかな?
ガンホー・オンライン・エンターテイメント
ネイティブアプリでいち早くパズドラというメガヒットを出した通称ガンホー。
第3四半期終了時点で売上高87,414百万円(前期比▲26.7%減)、営業利益36,549百万円(前期比▲37.9%減)。大幅現象したとはいえ、高収益企業には変わりない状態だ。ここの会社の問題ははっきりしている、パズドラをどこまで延命させることができるかと、次の収益の源泉を見つけることだ。
高いMAU(月間アクティブユーザー)を保持しているが、見るからに下がってきているのがわかる。パズドラは来年で5周年になることもあり、あきらかに飽きが発生している。
アニメ化や3DSでの提供でクロスメディア戦略を行っているが、それもいつまでも持たない。次のヒットを作るのが以前から求められていたが、それも叶わず。今までであれば、国内でヒットをさせて、海外でも同じように配信してウハウハでっせと言っていたが、それも十分な成果を得られてないようだ。
特に好調という話しも聞いておらず、セグメントにも別れていないところを見ると苦戦していると思われる。まああんな課金形態が海外で受け入れられるとはとても思わない。
今後は日本のゲームを海外展開するのではなく、海外を意識してゲーム作りする方向に切り替えるようだ。
パズドラ以外で目立った話がないガンホーは今後新しいメガヒットを生み出すかが焦点になりそうです。
グリー
皆さんおなじみ、任天堂の倒し方を知っているグリーです。2017年6月期決算の第1四半期時点で、売上高14,906百万円(前期比▲22.8%)、営業利益2,544百万円(前期比▲42.0%)。
数字上は立派だが前期比較をすると大きく数字を落としていることがわかる。同期比で過去と比べると5年前の売上の37%にまで落ち込んでいる。
売上の指標の一つとも言えるコイン消費の状況も減ってきている。この会社は今の自分達に合わせた経営をしっかりとしており、新規タイトルも順調で利益も計上できているので危機的状況ではない。
ただ以前に言ったような任天堂の倒せるような巨大企業に化けることは難しい状況。急速な成長も見込めず中堅の企業に落ち着いてきました。
気がかりなのは新領域事業のサービス。
関連性が薄い事業も多く、ここまで色んな方向に投資してリソースを割いて大丈夫なのかと気がかりだ。後で減損計上して一気に状況が悪化しないかが心配。
KLab
ラブライブやうたプリで有名なKlab。ラブライブサンシャインがこの夏アニメを放映して、ラブライブに対してブーストを期待したいが結果はどうだったか。
売上高が14,590百万円(前年同期比▲11.9%)、営業利益1,031百万円(前年同期比▲54.6%)。経常利益に至っては123百万円(前期比▲94.2%)と大幅ダウン。
目標に対して売上が伸びなかったので、一般管理費を削減して、目標達成したという可能性も考えられる・・・。
第4四半期はTVアニメ効果も終わり売上減少を見込んでいる。決算発表の資料を見る限り、1~6月分までの資料がほとんどなかったので、今までのは見ないでくれという意思表示に思える。この会社は「パズルワンダーランド」と「Age of Empires: World Domination」というゲームで757百万円の減損損失を行っている。新規ゲームの作成に苦戦している模様だ。
非ゲーム事業としてKLab Entertainment社を設立。この会社は非ゲーム事業としてラーメン屋の元締めをやるようです。物件を借りてテナントスペースとして転貸するようです。なんでKLabがそんなことするのかと疑問になりません。それに加えてイベントも行うようです。そしてイベントを実施したが・・・
総括
一部企業を除いて、アプリ中心の会社は下落傾向にあります。以前より将来的なことを投資家から心配されていたが、その会社の大半は・・・
会社:次回作のリリースもあります期待してください!
会社:海外展開も行ってもっと成長します!
しかしながら次のアプリもなかず飛ばず、日本の課金形態やゲームが受け入れられず、海外への展開も失敗するケースが非常に多い。
※東洋経済オンラインより抜粋
そもそもガチャ一回300円というのは傍からして高い気がしてならない。全体のプレイヤーに対して数パーセントの人員の課金で成り立っているというのもいびつで不安定さがすごく出る。
去年のゲームアプリ市場は9283億円となっており、人口規模からみるとこのあたりが限界。今後はこの半分ぐらいまで落ち込むのではないかと思える。新規顧客から今の顧客を奪い合う形となっており、開発費の高騰、広告合戦になり利幅が大きく減少となるのは目に見える。
今回勝っている企業の多くは十分な広告費をかけており、他のIPと競合して勝ち上がっているパターンが多かった。大きな資本がない新規の会社が勝ち上がることは本当に難しくなっており成熟した形となっている。
企業の選択は別れており、それでもこの業界で勝負するか、コンシューマーゲーム市場にも進出する、あるいは稼いだお金で完全に新規の事業を立ち上げる。最後のものは失敗フラグがビンビンですな。
もう少し課金額を減らして、課金するユーザーを増やしたら、結果は違ってきたのではと最近思います。マリオのアプリが12月にリリースなので、そこでまた業界に大きな変化が現れそうです。